されてあった。それを見て取った葉之助は「あっ」と叫ばざるを得なかった。
 それは恐ろしい刺繍《ぬいとり》であった。彼に縁のある刺繍であった。彼はそれによってこの教団のいかなるものかを知ることが出来た。そうしてそれを知ったがために、彼は現在の自分の位置が、予想以上に危険であることを、はっきり[#「はっきり」に傍点]明瞭に知ることが出来た。
 俄然《がぜん》形勢は一変した。そうしてそれは悪化であった。
「あっ」という声に驚いて二人の教主は眼を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》った。
 そうしてその眼は必然的に、声の主へ注がれた。
 教主二人の四つの眼と、葉之助の眼とはぶつかっ[#「ぶつかっ」に傍点]た。
 それは火のような睨み合いであった。
 が、それは短かった。
 男の教主がまず叫んだ。
「教法の敵! 教法の敵!」
 女の教主が続いて叫んだ。
「鏡葉之助だ! 鏡葉之助だ!」
「この男を搦《から》め取れ!」
 ――つづいて起こったのが混乱であった。
 こんな順序で行われた。
 一斉に信徒達が立ち上がった。
 グルリと葉之助を取り囲んだ。
 行列は颯《さっ》と後へ引いた。信徒
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