ったのに、もう洒々《しゃあしゃあ》してこの通りだ。人の目方まで量《はか》りゃあがる。――十七貫はございましょうよ」
「ずいぶん骨太でいらっしゃいますことね」
「あれ、あんな事云やあがる。厭になっちまうなこの女は。――ヘイヘイ骨太でございますとも」
「ホ、ホ、ホ、ホ、結構ですわ」
「ワーッ、今度は笑いやがった。変に気に入らねえ女だなあ」源介はすっかりウンザリした。
すると、女がまた云った。
「妾《わたくし》、さっき、あなたの胸へ、一生懸命|縋《すが》り付きましたわね。その時よっく計りましたのよ。ええあなたのお体をね」
源介はピタリと足を止めた。そうして女をじっ[#「じっ」に傍点]と見た。ズーンと何物かで脳天を、ぶち抜かれたような気持ちがした。
と、女は手を上げて、そこに立っていた巨大な屋敷の、黒板塀をトントンと打った。それが何かの合図と見えて、そこの切り戸がスーと開いた。
「主人の屋敷でございますの、お礼を致したいと存じます。どうぞおはいりくださいまし」
云いすてて女ははいって行った。
何んとも云われない芳香が、切り戸口から匂ってきた。源介にとっては誘惑であった。彼はその匂いに
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