「はい、さようでございます」
「強慾者だということである」
「そんな噂でございます」
「お露とかいう娘の方はそれに反して評判がよい。だが私《わし》は見たことはない。美しい娘だということだな?」
「ハイ、よい娘でございます」
 葉之助は顔を赧らめた。
「たとえどんなによい娘でも、家格の相違があるからは嫁としてその娘《こ》を貰うことは出来ぬ。ましてお前を婿《むこ》として大鳥井家へやることは出来ぬ」
「参る意《つも》りとてございません」
「そうであろうな。そうなくてはならぬ。……さてこう事が解って見れば痛くない腹を探られたくもない」
「ハイ、さようでございます」
「で、繁々行かぬがよい」
「気を付けることに致します」
「お前の武勇聡明にはまこと私も頭を下げる。これについては一言もない。ただ将来注意すべきは、女の色香これ一つだ。これを誡《いまし》むる色にありと既に先賢も申されておる」
「その辺充分将来とも気を付けるでございましょう」
 葉之助は手を支《つか》え、謹んで一礼したものである。

         三

 淡々しいように見えていてその実地獄の劫火《ごうか》のように身も心も焼き尽く
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