かざ》した妖婆の手が左へ左へと廻るに反し、右へ右へ右へと廻る。すなわち彼女の催眠秘術を突き崩そうとするのである。
 葉之助は驚いたが、それにも増して驚いたのは実に久田の姥《うば》であった。
 彼女はじっ[#「じっ」に傍点]と槍を見た。見る見る顔に苦悶が萌《きざ》し、眼に恐怖が現われたが、突然口から呻き声が洩れた。
「宗介の槍! 宗介の槍! ……おおその槍を持っているからは、汝《おのれ》は窩人の一味だな!」
 しかし葉之助は返辞さえしない。ジリジリジリジリと突き進む。それに押されて久田の姥は一足一足後へ退がる。
 やはり二人は睨み合っている。
 頭上に高く翳《か》ざしていた久田の姥の右の手が、この時にわかに脇へ垂れた。一髪の間に突き出した槍! したたか鳩尾《みぞおち》を貫いた。
 しかし久田は倒れなかった。
 両手を掛けて槍の柄をムズとばかり握ったものである。
「……呪詛《のろ》われておれ窩人の一味! お前には安穏《あんのん》はあるまいぞよ! お前は永久死ぬことは出来ぬ! お前は永久年を取らぬ! 水狐族の呪詛《のろい》妾《わし》の呪詛! 味わえよ味わえよ味わえよ!」
 こう妖婆は叫んだが
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