み。しばらく体を休めたものだ。
血気の頼正は物に拘《こだわ》らず、じかに灘兵衛へ言葉をかけた。
「どうだ灘兵衛、石棺はあったか?」
「なかなかもって」
と灘兵衛は、潮焼けした顔へ笑《えみ》を浮かべ、
「泥は厚し、水草はあり、湖水の底を究めますこと、容易な業ではござんせん」
「いかさまそれは理《もっと》もである……しかし、どうだな、ありそうかな?」
「二日、三日ないしは五日、どのように水を潜ったところで、※[#「水/(水+水)」、第3水準1−86−86]々《びょうびょう》と広い湖のこと、そんな小さな石の棺、あるともないとも解りませぬ。が、私《わっち》の感覚《かん》から云えば、まずこの辺にはござんせんな」
「うん、この辺にはなさそうか。ではどの辺に埋もれていような?」
「それが解れば占めたもの、心配する事アござんせん」
「ではそれも解らぬかな」頼正の顔は顰《ひそ》んで来た。
「確かなところは解りませんな。……とにかくもう少し西南寄り、神宮寺の方で潜って見やしょう」
「そうか。よし、船を廻せ!」
頼正は漕ぎ手に命を下す。
ギーと艪《ろ》の軋《きし》る音がして、船隊は船首《へさき》を西
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