儀は幾重にも辞退致さねばなりませぬが剣道は私も好むところ、且つは再三のお勧めもあり……」
「それではお立ち合いくださるか?」
「未熟の腕ではござりまするが……」
「それは千万|忝《かたじ》けない」
 してやったり[#「してやったり」に傍点]とニタリと笑い、「して打ち物は?」
「短い竹刀を……」
「しからばご随意にお選びくだされ」
 ワッと一同これを聞くと思わず声を上げたほどである。
 つと[#「つと」に傍点]立ち上がった葉之助はわずか一尺二寸ばかりの短い竹刀を手に握ると仕度《したく》もせず進み出た。
「あいや鏡氏、お仕度なされ」
 見兼ねたものかこの時初めて石渡三蔵が声を掛けた。
「私、これにて充分にござります」
「面も胴も必要がない?」
「一家中ではござりまするが流儀の相違がござります。他流試合真剣勝負、この意気をもって致します覚悟……」
「ははあさようかな。いやお立派じゃ……ええとしからば白井氏も、面胴取って立ち合いなされ」
「これはどうもめんどう[#「めんどう」に傍点]なことで」
 白井誠三郎不承不承に面や胴を脱いだものの、ここで三分の恐れを抱いた。
 居流れていた門弟衆も、これ
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