と構内を見る。どうして沈着《おちつ》いたものである。
葉之助が現われるとほとんど同時にバタバタと稽古は止めになったので、構内には竹刀の音もない。変に間の抜けた様子であったが、つと[#「つと」に傍点]進み出たのは近藤|司気太《しきた》、
「鏡氏、一本お稽古を」
「いや」と葉之助は言下に云った。「二、三本どうぞお見せくだされ」
「へへえ、さようで」
と近藤司気太妙な顔をして引っ込んだが、これは正に当然である。ご覧なされと引っ張り込んで置いて誰も一本も使わないうちにさあ[#「さあ」に傍点]立ち合えと云うのであるからポンと蹴るのは理の当然だ。
「偉いぞさすがは鏡家の養子」葉之助|贔屓《びいき》の連中はさもこそ[#「さもこそ」に傍点]とばかり溜飲《りゅういん》を下げた。
「ふん、チョビスケの近藤め、出鼻から赤恥をかかされおって」
しかし一方若侍どもは悠々|逼《せま》らざる葉之助の態度を面憎《つらにく》いものに思い出した。
「誰か出て二、三本使ったらどうだ」
「しからば拙者」「しからば某《それがし》」
五組あまりバラバラと出た。
「お面」「お胴」「参った」「まだまだ」
ポンポンポンポン打
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