ら」「そりゃ随分に痛かろうさ」
そろそろ怖気《おぞけ》を揮《ふる》う奴もある。
葉之助の姿がノッソリと道場の中へ現われると、集まっていた門弟どもまたひとしきり噂をした。よせばよいのに気の毒な――こう思う者も多かったが大勢《たいせい》いかんともしがたいので苦い顔をして控えている。
「こちらへこちらへ」と云いながら、白井というのが案内した席は皮肉千万にも正座《しょうざ》であった。すなわち稽古台の横手である。
「これはご師範でござりますか」葉之助は初々《ういうい》しく恭《うやうや》しく石渡三蔵へ一礼し、「私、鏡葉之助、お見知り置かれくだされますよう。また本日はお稽古中お邪魔《じゃま》にあがりましてござります」
「おお鏡のご養子でござるか」
煙草《たばこ》の煙りを口からフワリ……これが三蔵の挨拶《あいさつ》である。さすが代稽古をするだけに腕前は勝《すぐ》れてはいたものの、その腕前を鼻にかけ、且《か》つ旋毛《つむじ》の曲がった男、こんな挨拶もするのであった。
あちこちでクスクス笑う声がする。
四
しかし葉之助は気にも掛けず端然と坐って膝に手を置いた。それからジロリ
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