寝た。
「感心々々そうなくてはならない。勇気のある者は冒険する。一つの冒険は一つの智だ。知って了えば怖くはない。さあ煙管を取るがいい」
香具師は老人から煙管を取った。老人は煙管へ薬を詰めた。それからそいつ[#「そいつ」に傍点]へ火を付けた。
芳香が部屋へ漲《みなぎ》った。
香具師は徐々に煙を喫った。
「厭な気持だ。嘔吐きそうだ」
「ナーニ、すぐに可くなるよ」
「厭な気持だ。変に苦しい」
「そいつあ何うも仕方が無い。その薬の性質だからな。第一多少の辛抱は要るよ。辛抱しないで楽をしよう。こいつあ少し気が可すぎる」
その中だんだん香具師は、深い眠りへ入るようであった。
と、ボタリと煙管を落とした。いよいよ睡眠に這入ったらしい。
じっと老人は見詰めていた。忍び足をして部屋を出た。建物の戸へ錠を下ろした。
それから屋敷を走り出た。
野をドンドン横切った。
香具師の住居の百姓家、その門口まで遣って来た。チラリと四辺を見廻わした。それから裏手へ廻って行った。
裏口の戸も閉じていた。それへ障《さわ》ろうとはしなかった。彼は足踏をやり出した。地面を足でトントンと踏んだ。そうして音を聞
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