「これ汝《おのれ》ら何者だ、娘を返せ、さあ渡せ!」呶鳴ったは親方の桐兵衛である。
 嘲笑ったは銅兵衛で、「黙れ! 鼠賊! 何を云うか! 民弥殿は我らが守護いたす、金輪際《こんりんざい》汝らに渡すことではない、取りたくば腕ずくで取って見ろ! 見れば人買、浮世の毒虫! 根絶やししてくれよう、観念しろ」
 ヌッと踏み出した気塊というものは、凄じい迄に高かった。
 ギョッとはしたが人買の桐兵衛、こいつも甲斐撫での悪党ではなかった。後へ退がると引き抜いた。「やあ手前達邪魔が入った、邪魔な奴から退治《やっ》つけて、民弥をこっちへ取り返せ! 多少の腕はあるらしいが、人数は四人だ、知れたものだ、おっ取り囲んで鏖殺《みなごろし》にしろ!」
 手下に向かって声をかけた。
「云うにゃ及ぶだ」と人買共は一斉に抜き連れ飛びかかった。
「命知らずめ!」と一喝くれ、真っ先立って飛び込んで来た、人買の一人を大袈裟に、一刀にぶっ放した庭師の銅兵衛、「幾人でも来い、さあさあ来い! 一度にかかれ! さあさあかかれ!」
 血刀を揮って切込んだ。続いて三人が躍り込む。それを人買がおっ取り巻く。キラキラ! 太刀だ! 月光に映じ、
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