はそこで説明した。
 先夜小堀義哉の家へ、変な泥棒が入ったこと、金も衣類も持って行かずに、この箱ばかり狙ったこと、そこで策略を巡らして、泥棒に贋物を握らせた事、そうして本物は窃《こっそ》りと、自分が隠して置いた事、義哉へ箱を預けたのが、日本橋の大老舗《おおしにせ》、伊丹屋の娘だということなどを、細々《こまごま》と説明したのであった。
「ふうむ、そうかい、なるほどなあ。そう聞くとちょっと不思議だなあ。とんだ手蔓《てづる》にぶつかるかもしれねえ。だが何にしても蓋《ふた》をあけて、中味を拝見しなけりゃあ」
 そこで錠前をコヂ開けようとした。しかし錠は開かなかった。
「こいつアいけねえ、千枚錠だ。どんなことをしても開くものじゃあねえ。千枚錠ときたひにゃあ、合鍵だって役に立たねえ。箱を潰すのはワケはねえが、中味が何だか解《わか》らねえからな、そいつもちょっと手控えだ。……ところで鍵はなかったのかい?」

25[#「25」は縦中横]

「ええ、それがなかったんですよ」
「探したらどこかにあるだろう。帰って窃《こっそ》り探して見な」
「そうねえ、それじゃ探してみよう」
 永い春の日の暮れかかった頃、
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