でしまった。
 損をしたのは木賃宿の亭主で、その月の宿賃をフイにした。そこで銅助の持物を一切バッタに売ることにした。
 そこで、その壺と付属地図とはある古道具屋の手に渡った。

 この間に世間は一変し、世は王政維新となり、そうして奠都《てんと》が行なわれた。
 江戸が東京と改名され、大名はいずれも華族となり、一世の豪傑|勝安房守《かつあわのかみ》も、伯爵の栄爵を授けられた。
 ところで義哉《よしや》はどうしたろう?
 義哉は清元の太夫《たゆう》となった。
 ところでお錦《きん》はどうしたろう?
 お錦の身の上にも変化があった。まず許嫁《いいなづけ》の伊太郎《いたろう》が、肺を病んで病没した。そうして大家伊丹屋は、維新の変動で没落した。
 そこで、お錦は自然の勢いで、小堀義哉の女房となった。二人にとってはこのことは、願ってもない幸いであった。勿論|琴瑟《きんしつ》相和した。
 義哉の芸名は延太夫《えんだゆう》と云った。
 即ち清元延太夫《きよもとえんだゆう》である。もとが立派な旗本で、芸風に非常な気品があった。それが上流に愛されて、豊かな生活をすることが出来た。
 貴顕富豪《きけんふごう
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