ることになった。
「悲鳴が聞こえた、不思議千万!」呻くように云ったのは集五郎である。
「うむ」と華子も呻くように云ったが、「そなた小山へ馳せ上り、向こう側の様子を窺うよう」
「心得てござる! では早速!」
小山には灌木が生えている。しかし丈の高い木などはない。走り上がった集五郎は、頂きに立つと手をかざし、山の向こう側を見下した。と、山の裾の草の中に、見誤りはない山本という武士が、俯向《うつむ》けになって斃れている。肩を大袈裟に切られたと見え、血が流れ出て日に光るのが、かなり間遠ではあったけれど、不思議のようにハッキリと見えた。
「おっ! やられたか! ウーム気の毒! が、それにしても旅人は?」
集五郎は眼を走らせたが、すぐに旅人を目付けることが出来た。女馬子の引く馬に乗り、旅仕度をした一人の武士が、小山が途切れて谷になっている、そっちを目掛けて急がしく、飛ぶように走らせているのであった。背後《うしろ》姿ではあったけれど、集五郎には見覚えがあった。
「まさしく彼奴《きゃつ》だ! 相違ない!」
唸るがように云った時、馬上の武士が振り返った。
「また逢いましたな。南部氏! 拙者は一式小
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