冷泉華子と南部集五郎は、あまりの意外、あまりの神速、そのやり口に胆を奪われ、しばらく茫然と立っていたが、気が付くとまず集五郎は後追っかけて走り出た。
「やあ方々!」と大音声、「七人の曲者一団となり、表門の方へ走ってござる! 追っかけめされ追っかけめされ!」
 つづいて華子が走り出た。「方々!」とこれは金切り声、「秘密の道場を剖《あば》いた彼ら、遁がしてはならぬ、討って取りなされ! 一手は裏門へお廻わりなされ! 先廻わりをなされ! 先廻わりを!」
 二手に別れた一ツ橋勢、表門と裏門とへ向かったが、既にこの時弁天松代は、表の大門の閂へ、ピッタリ両手を掛けていた。
 ガラガラド――ン! 門が開いた。
「さあさあ早く」
「エッサエッサ!」
 依然松代を先頭に、七福神組の怪盗一団、魔のように門を駈けぬけた。
 後追っかけるは一ツ橋勢! だが怪盗の神速には、到底及びもつきそうもない。
 とはいえこの時行手にあたり、喊声《かんせい》の起こったのはどうしたのだろう? 裏門をひらいて走り出た、一ツ橋家の一手の勢《ぜい》が、七福神組の先に廻わり、今やおっ[#「おっ」に傍点]取り囲んだのである。

  
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