躍すると駈け込んだが、
「おっ、これは!」と立ち縮《すく》んだ。
 巨大な火炉が燃えている。その上に大釜が懸かっている。朦朦《もうもう》と湯気が立っている。プ――ンと異臭が鼻を刺劇《つ》く。その傍に黒々と、道服を纒った女がいる。左手に持ったは黄金の杖で、そうして右手に抱えたは、死んでいるのか気絶しているのか、両眼を瞑《つむ》ってグッタリと、延びている乙女の体である。女のくせに何んと大力、道服の女――冷泉華子は、抱えた乙女を――桔梗様を、グ――ッと上へ差し上げた。きっと釜の中を睨んだが、「融《と》かしてやろうぞ! 融かしてやろうぞ!」まさに桔梗様を投げ込もうとした。
「待て!」と叫んだ弁天松代は、あたかも雌豹、飛びかかった。
 と、飛び退いた冷泉華子は、思わず桔梗様を床へ置き、黄金の杖を突き出したが、「誰だ誰だ汝《うぬ》は誰だ!」
「世上に名高い七福神組、その頭領の弁天松代だ! 汝《うぬ》は誰だ! 汝は誰だ!」
「女方術師蝦蟇夫人さ! ……弁天とやら、何んしに来た!」スルスルと黄金の杖を出した。
 脇差しを構えた弁天松代、「云って聞かそう、取り返しにだ! 昆虫館館主のご令嬢を」
「桔梗を
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