いる声である。
 いろいろの音が聞こえて来た。
「サラサラサラ! サラサラサラ!」灌木や木立を押し分けて、走り廻わっている音である。七福神組の連中もいよう、一ツ橋家の武士達もいよう。ザ――ッ、ザ――ッ! 滝の音だ! 一式小一郎を葬って、死骸の上へ尚一層、落ち下っている滝の音だ。チャリ――ン! 太刀音! 衝突したのだ! 七福神組の連中と、一ツ橋家の武士達とが。
 キラッと閃めく物がある。揮った刀や槍の穂に、月の光がぶつかった[#「ぶつかった」に傍点]のだ。
 一所に石楠花《しゃくなげ》の叢があった。その叢の根にうずくまり、様子を窺っている人影があった。
 ソロリと立ち上がった姿を見れば、手に小脇差しを引っ下げている。ベットリと血に濡れている。小褄をキリキリと取り上げている。その下から見えるのは、緋縮緬の長襦袢で、その裾から見えるのは白いふっくり[#「ふっくり」に傍点]とした綺麗な脛だ。髪は結綿、鬼鹿子、着ているのは黄八丈の振り袖である。が、両袖とも捲くり上げている。頭の弁天松代である。衣裳も手足も紅斑々、切られたのではない返り血だ。敵を幾人か切り斃し、その血を浴びたものらしい。
「さあて
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