である。その右手に建物がある。
「まず植え込みへ隠れよう」こう云ったのは弁天松代。
「合点」と六人は頷いた。
で七人が潜行し、素早く植え込みへ身を隠した時、ザ――ッ、ザ――ッとさっきから、響を立てていた滝の音が近増《ちかま》さったのか、高く聞こえ、何んとなく凄く感じられたが、その滝の鳴る方角から、肩に月光を浴びながら、一人の武士が小走って来た。右手の建物へ行くのらしい。
それと見て取った弁天松代は「オイ」とまたもや囁いた。「侍が一人やって来る。館の住人の一人だろう。二、三人同時に飛び出して行き、有無を云わせず引っ捕え、ここへしょび[#「しょび」に傍点]いて来るがいい。桔梗様の居場所を聞いてやろう。が、いいかい間違っても、音を上げさせちゃアいけないぜ」
「おっとよい来た」と答えたのは、小頭の蛭子《えびす》三郎次である。
「それじゃア俺《おい》らも手を貸そう」こう云ったのは大黒の次郎。
「面白いの、俺も行く」こう云ったのは布袋《ほてい》の市若で、前髪立ちの美男子だ。
三十八
それとも感付かぬその侍は、植え込みの前を行き過ぎた。
とたんに飛び出した布袋の市若は、敏
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