たところで、同じような渦巻が渦巻いて、またもや太刀音と喧号とが悲鳴と仆れる音とに雑って、同じく嵐のように湧き起こった。茅野雄が敵を切って位置を変えるごとに、執念深く敵が追い逼って、引っ包んで討ち取ろうとしているのであった。
同じようなことが繰り返されて、渦巻が崩れて一方へ走って、そっちへ渦巻が移って行った時に、谷へ石でも転落するような、ガラガラという音が響き渡った。
白河戸郷
その日から十日は経ったようであった。
丹生川平から五里ほど離れた、白河戸郷《しらかわどごう》から一群の人数が、曠野の方へ歩いて来た。
一人の若い美しい乙女を、十二人の処女らしい娘達が、守護するように真ん中に包んで、長閑《のどか》に話したり歌ったりして、ゆるゆると漫歩して来るのであった。飛騨の山の中でも白河戸郷といえば、日あたりの良いいい土地として、同国の人達に知られていた。
季節は六月ではあったけれども、山深い国の習いとして、春の花から夏の花から、一時に咲いて妍《けん》を競っていた。木芙蓉の花が咲いているかと思うと、九輪草の花が咲いていた。薔薇と藤とが咲いているかと思うと、水葵の花が咲いていた。青草
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