んで指揮をした。
それに勇気をつけられたのであろう、三方から郷民達は襲いかかった。
その結果行なわれたことと云えば、正面から襲って行った一手の勢が、茅野雄のために切り崩され、なだれるように下りたのに引かれて、茅野雄も下へ下りた隙に、左右から襲って行った二手の勢が、段上を占めたことであった。
下へ下りた茅野雄を引っ包んで、郷民達の渦巻いている姿が、こうしてその次には見受け[#「見受け」は底本では「身受け」]られたが、しかしその次の瞬間には、渦巻が左右に割れていた。
と、その割れ目を一散に走って、黒石《アラオ》の方へ行く者があり、やがて黒石の上へ、片足を掛けて休んだ者が見られた。
数人の郷民を切り斃して、そこまで行った茅野雄であった。
「黒石を土足で穢した逆賊!」
すぐに覚明の喚く声がした。
「躊躇する汝らも逆賊であろうぞ!」
またも茅野雄を取り囲んで、人間の渦が渦巻き返った。
しかしその次には全く意外の、驚くべき事件が演ぜられた。
老人の声ではあったけれど、底力のある威厳のある声で、
「極東のカリフ様がおいでなされたぞ! 謹んでお迎えなさるがよろしい!」
つづいて威厳
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