手を尽くして、刑部の旅先を突き止めようとした。
勘右衛門は抜け荷買いをしたほどの男で、異国の事情に通じていたし、長崎の事情にも通じてい、刑部という老人が、長崎辺りの蘭人達と、取り引きをしているということなども、ずっと以前から知っていた。
つまり勘右衛門は刑部老人の、素性《ひととなり》と行動とを知っていたのであった。
したがって刑部老人が、あの大切な品物を持って、どの方へ旅立って行ったかについても、大体見当をつけることが出来た。
(長崎へ行ったに相違ない)
しかしだんだん探って見たところ、飛騨の方へ行ったということであった。
(これは一体どうしたことだ?)
勘右衛門には意外であった。
しかし、それから筋を手繰《たぐ》って、一層くわしく探ったところ、巫女《みこ》の千賀子も刑部老人と一緒に、飛騨の方へ行ったということであった。
そこで勘右衛門は決心をして、飛騨の方へ追って行くことにした。
その時勘右衛門は女房のお菊や、杉次郎や弁太を自分の前へ呼んで、こういう意味のことを話して聞かせた。
「お菊、お前は何にも知らないで、京助の手からあの大切な品を、刑部老人の元へやって、わずかば
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