れ、いまだに浪江を引っ抱えたままで、立っているところの姿なのであった。
寂然とした間があった。
向かい合った三人の空間を、病葉《わくらば》が揺れながら一葉二葉落ちた。
と、讃歌が聞こえてきた。
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※[#歌記号、1−3−28]唯一なる神
みそなわし給う
病める我らを
慈悲の眼をもて。
[#ここで字下げ終わり]
丘の上の大勢の業病人達が、歌っている讃歌に相違なかった。
宙に上っている鉄の杖が、この時ゆらゆらと前へ出た。
覚明が前へ出たのである。
その覚明が呻《うめ》くように云った。
「内陣の秘密を洩らす者は、肉親といえども許されない! 洩らしたな浪江! 聞いたな茅野雄! ……娘ではないぞ! 甥でもない! 教法の敵だ! おのれ許そうか! ……生かしては置けぬ! 犬のように死《くた》ばれ!」
ジリジリジリジリと前へ進んだ。
が、また讃歌が聞こえてきた。
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※[#歌記号、1−3−28]唯一なる神
許したもう
信じて疑わぬ
我らのみを。
[#ここで字下げ終わり]
「聞け!」と、覚明はまた進んだ。
「あの歌を聞け! あの歌を聞け! 疑わぬ
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