いる二人の武士の、その言い争いを心苦しそうに、眉をひそめて聞いていた浪江が、優しい性質を裏切ったような、強い意志的の口調で云った。
「妾《わたし》は品物ではございません。妾は人間でございます。妾は妾の愛する人を、妾の心で選びますよ!」
で、茅野雄も弦四郎も白けて、しばらくの間は無言でいた。
ここは小川の岸であって、突羽根草《つくばねそう》の花や天女花《てんにんか》の花や、夏水仙の花が咲いていた。小川には水草がゆるやかに流れ、上を蔽うている林の木には、枝や葉の隙《すき》から射し落ちて来る日の光に水面は斑《ふ》をなして輝き、底に転がっている石の形や、水中を泳いで行き来している小魚の姿を浮き出させていた。
一筋の日光が落ちかかって、首を下げている浪江の頸《うなじ》の、後れ毛を艶々《つやつや》しく光らせていたが、いたいたしいものに見えなされた。
そういう浪江と寄り添うようにして、腰をかけている茅野雄の大小の、柄の辺りにも日が射していて、鍔《つば》をキラキラと光らせていた。
その前に立っている弦四郎の態度の、毒々しくあせって[#「あせって」に傍点]いることは! 両足を左右にうん[#「う
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