点]抜くと、騎馬の一団の走る方へ、高々と上げて差し招いた。
「方々ようこそ参られた! ご助勢くだされ! ご助勢くだされ! あそこに立っている侍こそは、怨敵白河戸郷に味方をする、某《なにがし》という痴漢《しれもの》でござる! 拙者が小枝を奪おうとしたのを、邪魔をいたしたそのあげく[#「あげく」に傍点]に、丹生川平のあたら若者を、五人がところ討ち取ってござる! 早々討ってお取りくだされ!」
 こう叫ぶと弦四郎は二度も三度も、けしかける[#「けしかける」に傍点]ように刀を揮った。

乱闘

 敵は一人と見てとって、心に侮《あなど》りを覚えたからであろう、丹生川平の郷民達は、遠くから茅野雄をとりこめ[#「とりこめ」に傍点]て、矢《や》ぶすま[#「ぶすま」に傍点]にかけて射仆《いたお》そうとはしないで、馬を煽《あお》ると大勢が一度に、茅野雄にドッと襲いかかった。
 郷民達の叫喚、馬の蹄の音、打ち振る得物の触れ合う音、その得物の閃めく光、馬の蹄に蹴上げられて、煙りのように立つ茶色の砂塵、――それらのものが茅野雄を巡って、茅野雄を埋没させようとした。
 こうなっては茅野雄は声を上げて、いかに弁解をし
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