所の丘――すなわち醍醐弦四郎や丹生川平の男達が、現われて来た例の丘の、背後へ行って眺めたならば、小枝の侍女達三人が、丹生川平の男達の掠奪の手から遁れたところの、侍女達三人が転んだり起きたり、走ったり仆れたり泣いたり叫んだりして、丹生川平の男達に、小枝が奪われたという知らせを、白河戸郷へ知らせようものと、一里の道程を命がけに、走って行く姿を見たことであろう。
 女の足で走るのであるから、一里と云っても容易なことでは、行くつくことが出来ないであろう。とは云えいずれは行きつくであろう。と、白河戸郷の郷民達は、それこそ鉄砲や弓や山刀や、槍をたずさえて大挙して、白河戸郷から走り出て、一里の曠野を走って来て、茅野雄を助けて弦四郎を、引っ包んで討って取ることであろう。
 侍女達は懸命に走って行く。
 ところで小枝《さえだ》はどうしたであろうか?
 気絶したままで草の上に、衣裳を崩して仆れていた。
 丹生川平の九人の男達に、掠奪をされてここまで来たが、その九人の男達が、弦四郎を助けて宮川茅野雄を、討って取ろうと心掛けた結果、投げ出した九人の小枝の侍女達は、今やどこにいるであろう。その幾人かは気絶をして
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