で、天地が寂然と、にわかに眠ってしまったかのように、二人には感じていなければならない。
 しかしそれにしても弦四郎と一緒に、茅野雄を襲った丹生川平の、九人の男達はどうしたことであろう?
 そのうちの五人は茅野雄のために、今までに斃されてしまったが、後にまだ四人残っているはずだ。何故茅野雄に切ってかからないのであろう? 茅野雄の手並に驚いて、いずこへともなく逃げたのであろうか? 逃げたと云わなければならないかもしれない。四人ながら一散に大森林の方へ、今や走っているのであるから。
 その大森林の向こうの側に、丹生川平はあるのであった。
 走って行くのは事実であったが、逃げて行くのだとは云われないかもしれない。
 四人バラバラに森林の中へ入ると、四方八方へ駈け廻《めぐ》って、手に石を拾い取ると、一種の合図めいた調子を取って、老木の幹を叩きつづけたのであるから。
 と、どうだろう、遥か奥から、それに答えでもするかのように、同じ一種の合図めいた、調子を持った木を叩く音が、木精《こだま》を起こして聞こえてきた。が、もし誰かが森林の奥へ、さらに踏み入って耳を澄ましたならば、一層に森林の奥の方から、同
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