桑山家の浪人夏目主水(今は大道のチョンガレ坊主)、久世家の旧家臣鳥井克己(今は大須の香具師《やし》の取り締まり)、石川家の浪人佐野重治(今は瑞穂町の祭文かたり)、小笠原家の旧家臣喜多見正純(今は博徒の用心棒)、植村家の浪人徳永隣之介(今は魚ノ棚の料理人)、堀家の旧家臣稲葉甚五郎(今は八事の隠亡の頭《かしら》)、小堀家の浪人笹山元次(今は瀬戸の陶器絵師)、屋代家の旧家臣山口利久(今は常滑《とこなめ》の瓦焼き)、里見家の旧家臣里見一刀(今は桑名の網元の水夫《かこ》)、吉田家の浪人仙石定邦(今は車町の私娼《じごく》宿の主人《あるじ》)
三
ざっとこういう輩《やから》なのだ。取り潰された大名達の遺臣、つまり浪人ばかりなのだ。
(昨夜は名古屋の富豪連を招いて、その席で館林様は話をされた。訓諭と懇願とを雑えたような話を。しかるに今夜は浪人連を招いて、慰撫と激励の話をされた。仲介役が丸田屋の主人だ。……警戒しないでいられるものか)我輩は心からそう思ったよ。
「十二神《オチフルイ》!」と館林様がまた言われた。「お前浪人をどう思うな?」
「は、どう思うとおっしゃいますと?」
「社会
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