、前後に眼を配っている。つづいて血祭坊主が行く。つづいて行くのは島村左平次、戸村次郎左衛門、石川|内匠《たくみ》、石田典膳、古市喜左衛門、山辺勇助、中川蔵人、大森弾正、齋藤一八、雨森静馬、六郷六太郎、榎本金八郎、大河原八左衛門、辻五郎、秋山七左衛門、警衛として付いて行く。つづいて行くのが天一坊の輿物、飴色網代蹴出造、塗棒朱の爪折傘、そいつを恭々しく差しかけている。少し離れて行くものは、天忠坊日親で、これまた先箱を二つ立て、曳馬一頭を引かせている。つづいて行くのは藤井左京、抑えの人数を従えている。最後に馬上で行くものは、即ち山内伊賀之助、熨斗目麻上下を着用し、総髪にして蒼白い顔、鷲のように鋭く澄み切った眼、広い額に善謀を現し、角ばった※[#「臣+頁」、第4水準2−92−25]に果断を示し、高い頬骨に叛気を漂わせ、キッと結んだ唇に、揶揄、嘲笑をチラツカせている。これも片箱一本道具、曳馬無しに従えている。下座触制止の声を掛け、同勢すべて二百人、大坂を立って江戸へ入る。徳川天一坊の行列である。
淀川堤へかかった時だ、山内伊賀之助上流を見た。
蒲鉾小屋が立っている。
「ははあきれだ[#「きれ
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