ラシイヌの声は憂欝だ。
「彼奴《きゃつ》はいったい何者だろう? 仏蘭西《フランス》語が出来て英語が出来て料理が上手で度胸がある。西域の地図を持っていた――ただの鼠じゃなかったんだ」レザールの声は泣きそうだ。ひょうきん者のダンチョンさえ黙って地面を見つめている。
しかしいつまでそうやっていても張の出て来るきづかいはないので、またも一同立ち上がって彼の行衛をさがしだした。今度は幾組かに組を分け四方へ一度に出て行った。
ラシイヌと博士との一行は同勢八人が一団となり東北をさして探しに出た。わずか一里ほど行った時意外にも一つの村へ出た。常磐木《ときわぎ》が青々と茂っている、泉が地面から湧き出ている。村には一つの祠《ほこら》があって狛犬が二匹並んでいる。
「ははあ市長が水晶の球と羊皮紙とを発見《みつけ》た祠というのは、ここにあるこの村の祠だな。しかしこんなに手近な所に緑地《オアシス》があろうとは思わなかった。恐らく張の逃げ込んだのもこの緑地《オアシス》に違いない」ラシイヌは心でこう思ったので土人を無理に引っ捕らえ博士の通弁で質問した。
「はい逃げ込んで参りました」冷笑しながら土人は云った。
「
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