の中は黄金のように輝いている。
 老人は二つの箱を出して、湖水の水を注ぎかけた。そして大神を讃え出した。
「アラ、アラ、イル……」と熱心に。
 動くともない湖水の水がその時渦を巻き出した。渦の中心に船がある。船が急速に廻り出した。と、砂山の一方の岸が見る見る崩れてその跡へ洞窟のような穴があいた。水がその洞へ流れ込む。いつしか船も流れ込んだ。忽然と四辺《あたり》が暗くなり一筋の陽の光も見えなくなった。エルビーが私に縋りつく。老人は闇の中で祈っている。
「アラ、アラ、アラ、アラ、アラ、アラ、イル……」
 船はずんずん流れて行く、地下の水道を矢のように……(備忘録下略)

        九

「張の姿が見えないぞ!」
 朝早くレザールが叫び出した。マハラヤナ博士もラシイヌもその声に驚いて飛び起きた。沙漠の暁の薄光が天幕《テント》の中へ射している。彼らは真っ先に球を納《い》れた鉄の手箱をさがしたが、その影さえも見えなかった。一行三十人の人々は手を分けて張を探したがどこにも姿は見えなかった。みんな絶望して溜息をついてそして沈黙に落ち入った。
「信用したのが悪かったね。今さら云っても返らないが」
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