度胆を抜かれたと見えて森林の奥へ逃げ込んで一匹も姿を見せなかった。私とダンチョンとは佇んだままなお熱心に眺めやった。距離が距たっているために袁更生の一味ともラシイヌ探偵達の一隊とも見分けることが出来なかった。
 しかし間もなくその一群がもう一度空砲を打ち放しこっちの様子を窺ってから、危険がないと思ったものか徐々にこっちへ近寄って来たので、その一群が何者であるかを私達はやっと知ることが出来た。
 ――彼らは私達の味方であった……

 情熱的の挨拶が双方の間に取り交わされ不思議の奇遇が言祝《ことほ》がれた。それから双方争うようにして今日までの経験を物語った。彼らの話す話によってあの恐ろしい山火事がどうして起こったか知ることが出来た。蛮人のために捕虜になったダンチョンの命を助けようため彼らが放した砲弾が蛮人の部落に命中して萱葺き小屋を[#「萱葺き小屋を」は底本では「萱葦き小屋を」]焼いたのがその原因だということである。そして彼らはあの素晴らしい焦熱地獄の火の中で土人と戦ったということであった。そしてとうとう土人どもを全く屈服させたあげく、袁更生の一団をボルネオ島の北の端れへ息も吐《つ》かせず
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