22]壮健になり猿族と競争する事によって彼は恐ろしく敏捷となった。そうして彼はもうこの時には有尾人種の存在については全く前説を否定して考えさえもしなかったが、彼、すなわち、ジョンソン自身がちょうど人猿そのもののように完全の野人になり切っていた。森林を走るに、枝から枝幹から幹を伝わって風のように速く走ることも出来た。高い梢の頂上から藪地《ジャングル》の上へ飛び下りても少しも怪我をしないほど軽くその身を扱いもした。
 何んという愉快な生活だろう。何んという原始的の生活だろう。これがすなわち我らの祖先――人猿そのものの生活なのだ! 自然の食物、自然の飲料、自然の遊戯、自然の睡眠、ここには何らの虚栄もない。そして何らの褥礼もない。過去において自分が生きていたあの欧羅巴《ヨーロッパ》の社会生活もこれに比べたら獄屋のようなものだ。自分は心から謳歌する。この森林の生活を……
 ジョンソンは実際こう思ってこの蕃界の生活を恐れるどころか愛していた。そして再び欧羅巴《ヨーロッパ》などの虚飾に充ちた社会生活へは帰って行くまいと決心した。
 彼は鳥獣を愛《いつく》しみ鰐魚《わに》をさえも手《て》なずけた。彼に
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