でもあろう部落の中は騒がしかった。私は木蔭に身を隠しながら部落の様子を窺った。諸所で焚火をしていると見えて薔薇色の火光が天に上り蒼白い煙りが立ち上っている。土人達の叫び声や矢を放す音や小銃の音さえ聞こえて来る。
この私の驚いたことはそれらの雑音に打ち混って立派な支那語の話し声が明瞭《はっき》り聞こえて来ることであった。尚一層私を驚かせたのは北京《ペキン》で聞いた例の詩《うた》があざやかに聞こえて来ることであった。
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古木天を侵して日已に沈む
…………
巨魁来巨魁来巨魁来
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「袁更生一味の海賊どもがあすこにいるに違いない!」
私はすぐにこう思った。体中の血汐が復讐の念に思わずカッと燃え上がった。
三十一
その時土人の部落を越えた遙か向こうの森の中から閧《とき》の声がドッと上がったかと思うと、それに答えて部落からも太鼓を打つ音が鳴り響き、凱旋踊りでもするように女子供までが広場へ出て薔薇色の火光を浴びながら足を空へ上げて踊り出した。
土人乙女はその時まで私の側に立っていたが、部落の光景《ありさま》を眺めるや否や、やはり
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