て私の胸へ顔を押し当て全身を顫わせて絞めつけた。感謝の抱擁には相違ないが余りに強い腕の力で無二無三に絞め付けられ思わず悲鳴を上げようとした。乙女はそれに気がついたと見えて腕の力を弛めたがその代り今度は私の体を隙間なく唇で吸うのであった。乙女のやるままに体を委かせて私はじっと立っていたが夢中で接吻する乙女の顔へ思わず瞳を走らせた。どうして蛮女の顔だなどと軽蔑することが出来ようぞ! 何んという調った輪廓であろう! 土人特有の厚い唇もこの乙女だけには恵まれていない。欧羅巴《ヨーロッパ》人のそれのように薄く引き締まっているではないか。そしてその色の紅いことは! 珊瑚を砕いて塗りつけたようだ。高く盛り上がった厚い鼻も情熱的の大きな眼も南洋の土人というよりも欧州人に似ているのであった。
 彼女の情熱が和んでから手真似《てまね》でいろいろ話して見た。その結果私の知ったことは、「眼に見えない私の恩人」というのは彼女であったということと、四|哩《マイル》を隔てた森林の中に土人の部落があるということと、今その部落は合戦最中で敵の軍中には白人がいるので手剛《てごわ》いなどということであった。
 そこで私は彼
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