たようになるのであった。尾を持っている類人猿《ピテカントロプス》! その有尾人猿に追いかけられて悲鳴を上げながら逃げて来るのは土人の若い女であった。長髪を背後へ吹きなびかせて恐怖に見開いた大きな眼を小屋の方へ高く向けながら足を空にして走って来る。赤銅《しゃくどう》色の逞《たくま》しい四肢は陽に輝いて白く光り腰の辺に纒った鳥の羽根は棕櫚の葉のように翻えり胸を張って駈けるその姿は土人とは云え美しい。追われるものも追うものも忽ち林を駈け抜けて丘を巡った空地へ出た。有尾人猿は樹の枝から巻いていた尻尾を放すと一緒に鞠《まり》のように地上へ飛び下りたが、両の拳を握ったり開いたり拳の先を時々地につけ牛のような肩を前のめり[#「のめり」に傍点]に出して踊るようにして追って来る。疲労《つか》れを知らない有尾人猿に次第次第に追い詰められて土人乙女は恐怖のため走る足がだんだん鈍くなった。そして小屋の中にこの私が住んでいることを知っているかのように、両手を小屋の方へ差し上げて例の悲しそうな断末魔の声を繰り返し繰り返し叫ぶのであった。乙女の叫びに誘われて私の心は揮い立った。麻痺していた手が自由になった。私は拳銃
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