ある。それに、もう一つラシイヌ達にとって、心にかかることがある。袁更生一派の海賊がやはりこの島に上陸していて、やはり土人達の唄を聞きまた土人達の伝説を聞いて宝庫の所在《ありか》に見当を付けて、その宝庫を発《あば》くため探検隊を組織して奥地に向かって行きはしないか? もしも彼らが行ったとしたら我々白人の探検隊よりも遙かに便宜がある筈である。ボルネオ土人の風習として亜細亜《アジア》人に好意を尽くすからである。土人の好意を利用して彼ら亜細亜《アジア》人の海賊どもは捷径《ちかみち》を撰んで奥地に分け入り、我々よりも一足先に宝庫の発見をとげはしないか? ――これがラシイヌ達の心配であった。それで彼らは一刻も早く奥地地帯へ踏み込もうと土人軍どもを鞭韃した。しかしどのように鞭韃しても荊棘《いばら》に蔽われた険阻の道をそう早く歩くことは出来なかった。

        二十五

 行く行く彼らは土人の部落――すなわち部落へ到着《ゆきつ》くごとに飾り玉や玩具を出して見せて彼らの食料と交換した。米や野菜や鶏や卵や唐辛《とうがらし》または芭蕉の実やココアなどと貿易したのである。部落《コホン》の土人は想像した
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