れて生活していたというものさ。聞けば護謨園とサンダカンとは、三十|哩《マイル》足らずの道程で自動車も通うということだったので、園の事務員にお願いして君の所へ昨日遅く電報を打ってやったんだが、こんなに早く来て貰ってみんなも心強く思うだろう」
 ラシイヌはやおら立ち上がって、窓へ行って戸外《そと》を覗いたが、
「護謨林の様子を見るとか云ってさっきみんな戸外へ出て行ったが、そのうち帰って来るだろう」
 こう云うと長椅子へ腰を下して前途の冒険を考えるかのように軽くその眼を閉じたのであった。
 木小屋《バンガロー》式の建物の内はしばらくの間静かであった。窓を通して真昼の陽が護謨林の頂きから射して来るのが室の板壁へ斑点を着けそこだけ黄金色に輝いている。聞いたこともないような南洋の鳥が林から広場へ飛んで来て、窓の方を横目で見やりながら透明の声で唄っているのが、室の中に寝ている病人達を慰めているようにも思われる。林の中のあちこちから護謨液採りの土人乙女の鄙《ひな》びた唄声も響いて来る。亡国的の哀調を含んだ、しかものびやかな調べである……。

        二十三

 その時正面の扉をあけてマハラヤナ
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