れ、吉之助様は蘇生なされましたが、ご上人様はそのままお逝去《なくな》りなされた、あの悲劇になったのでござります。
「大君のためには何かをしからん薩摩の瀬戸に身は沈むとも」これがご辞世でございます。
でも、おおおお、わたしといたしましては、それもこれも犬神の娘の、狂気じみた恋にひきずられて、はいったが最後恐ろしい運命が、落ち下るという犬神の祈祷所へ、ご上人様がおはいりなされました、その結果ではあるまいか? ……いえいえ、いえそんなことが!
でもやはり私には……。
底本:「怪しの館 短編」国枝史郎伝奇文庫28、講談社
1976(昭和51)年11月12日第1刷発行
初出:「講談倶楽部」
1935(昭和10)年9月増刊号
※「叱咤」と「叱※[#「口+它」、第3水準1−14−88]」の混在は底本通りにしました。
入力:阿和泉拓
校正:多羅尾伴内
2004年11月24日作成
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