郎は凄じく云った。
「不肖な弟子を手討ちにいたす!」
 するとこの時まで多四郎の言葉を黙々として聞いていた林蔵が、抜身をソロリと鞘におさめ、つかつかと多四郎の前へ出て云った。
「逸見先生に申し上げまする、私をもお手討ちにして下さいませ」
 首をすっと差しのべた。
「?」
 多四郎はただ林蔵を見詰めた。
「先生の秘蔵弟子の猪之松殿を、不肖におとしましたは、この林蔵にござりまする」
「…………」
「林蔵さえ争いを仕掛けませねば、穏和な高萩の猪之松殿には決闘などいたしはしませぬ」
「…………」
「私をもお手討ち下さりませ」
 そういう林蔵の真面目な顔を、多四郎はつくづく眺めていたが、
「さすがは男、立派なお心! 多四郎ことごとく感心いたしてござる……そこで多四郎よりお願いすることがござる。……林蔵殿、猪之松と和解下さい……」
「…………」
「一つ秩父《ちちぶ》の同じ地方で、それほどの立派な男が二人、両立して争うとはいかにも残念! 戦えば両虎とも傷つきましょう。和解して力を一つにすべきじゃ」
「殿様……」と林蔵は頭を下げた。
「まことにごもっとものお言葉、林蔵身にしみてござります――高萩のに否
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