き馬市は繁昌、おかげでわしらの賭場も盛り、芽出度い芽出度いと云って居る際に、赤尾と出入りが起きようものなら、馬市もメチャメチャ諸人方は、どれほど迷惑するかしれねえ。その馬市も明日一日だけ。……そこで出来ねえ我慢をして、ここはわし等の顔を立て、穏便に済まして貰いたいが」と、こう半助が猪之松に話すと、又藤兵衛は林蔵に対し、
「藤作どんが酔ったまぎれの、賭場荒しめいたてんごう[#「てんごう」に傍点]も、景気に連れての振舞いでしょうよ、そいつを高萩の身内衆に、場銭さらいにやって来たかと、悪態されたでは赤尾のとしては、黙っていることは出来ますめえが、馬市も明日一日、どうか穏便に済ましたいもので。出入りとなると諸商人はじめ宿の者一統が難渋するので」
こう云って納めようとした。
林蔵も猪之松も頑迷ではなかった。こう云われるとそれを押し切って、私闘をすることは出来なかった。
「ではお任かせいたしましょう」と云った。
しかし林蔵は考えた。
(いずれ俺と猪之松とは、将来|交際《つきあ》える関係《なか》ではない。そのうち必ず命を賭しての、出入り果し合いをすることとなろう。一日延ばせば一日延ばしただけ、
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