から(厭な野郎が舞い込みやアがった)
 と、峰吉も八五郎も思ったが、まさか帰れとも云いかねて(障るな触れるな、そっと[#「そっと」に傍点]して置け)
 こう考えて眼まぜ[#「まぜ」に傍点]で知らせ合い、声もかけず勝負をつづけて行った。
 と、不意に藤作は怒鳴った。
「勝負待った、イカサマあ不可《いけ》ねえ!」
 同時に飛び出し盆蓙を掴むと、パーッとばかりにひっぺがした。
「野郎!」と飛び上ったは八五郎。
「賭場荒らしだ――ッ」と客人たちは、総立ちになって右往左往した。


「イカサマとは何だ、この野郎!」
 やにわに八五郎は飛びかかった。
 その横ッ面をポカリと一つ、藤作は見事にくらわせたが、
「イカサマだ――ッ、イカサマだ――ッ! ……高萩の猪之の賭場の壺振、八五郎はイカサマをして居りやす! ……お客人衆、イカサマだ――ッ」と叫んだ。
「藤作!」と腹に据えかねたように、怒声をあげると、閂峰吉、長脇差をひっ掴み、立ち上るとツカツカと前へ出た。
「見りゃア手前は赤尾の藤作、まんざら知らねえ顔でもねえ。事を決して荒立てたくはねえが、高萩一家が盆割の場所で、イカサマと云われちゃア、どうにも
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