れからそれと、その手を人々に伝えたら、俺は手も足も出なくなる)
これが彼には恐ろしいのであった。
(それともあの時俺の腕が、いつもより鈍っていたがために「逆ノ車」は使ったが、使い方が精妙でなく、それで一時的に外されたのだろうか? もしそうならまだ安心だ)
(では……)と陣十郎は惨忍に思った。
(誰かを、どいつかを、「逆ノ車」で、充分練って用意して、切って切れたら! 切って切れたら!)
自信がつく!
そう思った。
(よ――し、どいつかを切ってやろう?)
(誰を?)と思った時主水のことが、瞬間脳裏に閃いた。
(うむ、こいつを切ってやろう!)
悪人の本性が甦ったのであった。
(思ってみれば主水という奴、危険至極の道連れだった。俺を敵《かたき》と狙う奴だった。そうしていつかはこいつのために、俺は討たれるはずだった。……討たれてなろうか、何を馬鹿な! ……俺も何という男だったろう、いずれこの男に討たれてやろう――などとそんなことを思っていたとは。……それに人心は変わるものだ。俺の心が変わるように。……で、主水め心が変わり、俺の寝息をうかがって、寝首掻かないものでもない。……よ――し、この
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