深く、主水を恋していることだろう!)
こう思うと陣十郎はムラムラと、嫉妬の思いに狩り立てられ、
(澄江が俺の意に従わぬのも、主水があるからだ!)と、主水に対する憎悪の念が、彼をほとんど狂気状態にまで、導き亢《たかぶら》せ追いやるのであった。
時々彼は澄江に向かい、主水のことを云い出して見た。
と澄江はきっとそのつど、あらぬ方へ話を反らせてしまって、何とも返辞をしなかった。
それが陣十郎には物足らず、心をイライラさせはしたが、しかしまだまだその方がよくて、もしもハッキリ澄江の口から、ないしは起居や動作から、主水恋しと告げられたら、その瞬間に陣十郎の兇暴性が爆発し、乱暴狼藉するかもしれなかった。
どっちみち陣十郎はこう思っていた。
(自己一身の生命の、永久の安全を計るためにも、主水は是非とも討って取らねばならぬ)
こっちから主水を探し出して、討って取ろうと少し前から、心に定《き》めた陣十郎が、今や一層にその心を深く強く定めたのであった。
その主水はどこにいるか?
それは全く解らなかった。
が、気がついたことがあった。
間もなく行なわれる木曽の馬市、納めの馬市へは武州甲州
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