ち上ったが、水引の形に作ってあった縄を、先ず箱から解きほぐした。
「ようござんすか、蓋取りますでござんす。ヨイショ!」と八五郎は声をかけた。
「ヨイショ」と博労達はそれに応じた。
と、パッと蓋が取られた。
7
京人形が入れてあった。
髪は文庫、衣裳は振袖、等身大の若い女の、生けるような人形が入れてあった。
と、眼瞼を痙攣させ、その人形は眼をあけて、天井をじいいっと見上げたが、又しずかに眼をとじた。
人形ではなく生ける人間で、しかもそれは澄江《すみえ》であった。
富士額、地蔵眉、墨を塗ったのではあるまいかと、疑われるほどに濃い睫毛で、下眼瞼を色づけたまま、閉ざされている切長の眼、延々とした高い鼻、蒼褪め窶れてはいたけれど、なお処女としての美しさを持った、そういう顔が猿轡で、口を蔽われているのであった。
明るい華やかな燭台の燈が、四方から箱の中のそういう顔を照らして浮き出させているだけに、美しさは無類であった。
一座何となく鬼気に襲われ、誰も物云わず顔を見合せ、しばらくの間は寂然としていた。
がさつ[#「がさつ」に傍点]者の八五郎は喋舌り立てた。
「いつぞやの日に上尾街
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