皆様にお眼にかかれますが、何しろ福島は山の中、碌なご馳走も出来ませず、まして女と参りましては、木曽美人などと云いますものの、猪首で脛太で肌は荒し、いやはや[#「いやはや」に傍点]ものでございまして、とてもとてもここに居られる別嬪衆に比べましては、月に鼈《すっぽん》でございますよ。が、そいつは我慢をしていただき、その際には私が亭主役、飲んで飲んで飲みまくりましょう。いや全く今夜という今夜は、一方ならぬお接待《とりもち》、何とお礼申してよいやら、嘉門大満足の大恭悦、猪之松殿ほんに嬉しいことで」
 猪之松は片頬で微笑したが、
「いや関東の女こそ、肌も荒ければ気性も荒く、申して見ますれば癖の多い刎馬――そこへ行きますと木曽美人、これは昔から有名で、巴御前、山吹御前、ああいう美姫《びき》も出て居ります。納めの馬市に参りました際には、嘉門様胆入りでそういう美人の、お接待に是非とも預かりたいもので。……」
 ここで猪之松は微笑した。


 微笑をつづけながら猪之松は、
「そこで今夜は私が胆入り、ここに居りますどの女子でも、お気に入りの者ござりましたら、アッハハハ、取り持ちましょう」
「アッハハ、そ
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