あ恥かしい同じ仲間の、たくさんの郷の人達が、側にいたのに臆面もなく、あたしゃアこのお方をご介抱するよと、ここへお連れして参りましたが……因果の恋なのでござりましょうねえ。……それにもう一つには妾にとりまして、あの水品陣十郎という男、本当の恋しい男でなく、愛する男でもありませぬ故と……そうも思われるのでござります」


「お妻殿!」とやや鋭く、やや怒った言葉つきで、咎めるように主水は云った。
「いかに拙者に恋慕の情をお運びになるあなたとはいえ、現在の恋人をあからさまに、恋せぬなどと仰せらるるは……そういうお心持でござるなら、拙者に飽きた暁には、又他の情夫に同じように、拙者の悪口を仰せられましょう……頼み甲斐なき薄情! ……」
「いいえ、何の、主水様、それには訳が、たくさん訳が……」
 あわてて云ったもののそれ以上、お妻は云うことは出来なかった。
 自分が女賊で、女邯鄲師《おんなかんたんし》で、平塚の宿の一夜泊り、その明け方に同宿の武士、陣十郎の胴巻を探り、奪おうとして陣十郎のため、かえって取って押えられ、それを悪縁に爾来ずっと、情夫情婦の仲となり今日まで続いて居るなどとは、さすが悪女の
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