2[#「12」は縦中横]
「名は? 源女! お組の源女! ……と申しはいたしませぬか?」
「よくご存知、その通りじゃ」
「やっぱりそうか! そうでござったか! ……有難し、まさしく天の賜物! ……その女こそこの要介仔細ござって久しい前より、保護を加え養い居る者、過日上尾の街道附近で、見失い失望いたし居りましたが、貴殿お助け下されたか。……源女拙者にお渡し下され」
「ならぬ!」と多四郎ニベもなく云った。
「源女決して渡すことならぬ!」
「理由は? 理由は? 逸見氏?」
「理由は歌じゃ、源女の歌う歌じゃ!」
「…………」
「今は変わって千の馬、五百の馬の馬飼の……後にも数句ござったが、この歌を歌う源女という女子、拙者必要、必要でござる!」
「なるほど」と要介は頷いて云った。
「貴殿のお家に、逸見家に、因縁最も深き歌、その歌をうたう源女という女、なるほど必要ござろうのう……伝説にある埋もれたる黄金、それを掘り出すには屈竟の手蔓……」
「では貴殿におかれても?」
「御意、さればこそ源女をこれ迄……」
「と知ってはいよいよ源女という女子《おなご》、お渡しいたすことなりませぬ」
「さりながら本来拙
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