福に……」
施しを快く受けられたので、お紅は喜悦を感じたらしい。ちょっと会釈すると身をひるがえして、行き過ぎた秋安の後を追って灌木の裾を向こうへ廻った。
と、じいいっとその後を、萩野は涙の眼で見送ったが、突然梶太郎の膝の上へ、しっかりと、顔を押しあてた。
「ねえ行きましょうよ、遠い他国へ、流浪しましょうよ、二人で一緒に!」
そうして烈しく咽び泣いた。
「…………」
茫然とした若者の梶太郎には、何故そうもにわかに萩野の心が、一変したかが解《わか》らなかった。それは実際解らなかったが、一緒に流浪をしようという、萩野の心は嬉しかった。嬉しい以上に有難かった。
「萩野さん、私はお礼を云うよ。ああ行こう、一緒に行こう。……そうしてお前さんは私のものだ」
「貴郎のものでございますとも! ただ今の若い美しいお方も、祝福をして下さいました。……私達二人を! 夫婦と見做して!」
「私の妻だ!」と抱きかかえた。その梶太郎に抱かれたままで、萩野はうっとり[#「うっとり」に傍点]と呟いた。
「あの人達は京都《みやこ》に住む! 賑やかな明るい派手やかな京都に! そうしてそこでお暮らしになる。幸福に、幸福
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