優しくなり、慰めるような口調となった。
「余計なことは申しますまい。某をお信じなさりませ。某必ずお紅殿を、無垢の処女《おとめ》として聚楽第から、貴殿にお返し致しましょう、安心して一先ずお引き取り下され、……四人の武士を討たれたことも、某秘密に取り行ない、貴殿にご迷惑のかからぬよう、葬むることにいたしましょう」
こう云われてみれば秋安には、押して云うべきことはなかった。なるほど主殿へ切り入ったならば、討って取られることであろう。決死の覚悟で来たのではあったが、殺されるのを望んでいるのではない。それにお紅を処女のままで、返してくれるというのである。苦情を云うべき筋はない。しかも言葉を誓ったのは、他ならぬ木村常陸介である。充分に信頼してよかった。
で、ひき上げることにした。
「ご芳志|忝《かたじ》けのう存じます。ではお言葉に従いまして、立ち返ることにいたしましょう。つきましてはきっとお紅殿を……」
「大丈夫でござる、お案じなさるな」
「は」と恭しく一礼して、木立をくぐって北畠秋安は、忍びやかに後へ引き返した。
しかし十足とは歩かない中に、一つの恐ろしい事件が起こった。
酒宴をひらいて
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