汝ら一味を狩りとる所存じゃ! 財宝の分け前与えると※[#感嘆符疑問符、1−8−78] わッはッはッ、片腹痛いわい! 逆に汝の独楽を奪い、隠語の文字ことごとく探り、淀屋の財宝は一切合財、この主税が手に入れて見せる! 解け、頼母、この縄を解け!」
主税は満身の力を罩《こ》め、かけられている縄を千切ろうとした。土気色の顔にパッと朱が注し、額から膏汗《あぶらあせ》が流れ出した。
生きている勘兵衛
「馬鹿者、騒ぐな、静かに致せ!」
主税《ちから》のそういう悲惨《みじめ》な努力を、皮肉と嘲りとの眼をもって、憎々しく見ていた頼母《たのも》は云った。
「縄は解けぬ、切れもしないわい! ……お前がこの場で執るべき道は、お前の持っておる独楽をわしに渡し、わしの一味配下となるか、それともあくまで強情を張って、淀屋の独楽をひし[#「ひし」に傍点]隠しに隠し、わしの配下に殺されるか、さあこの二つの道しかない! ……生きるつもりか、死ぬつもりか※[#感嘆符疑問符、1−8−78] どうだ主税、どっちに致す!」
頼母は改めてまた主税を見詰めた。
しかし主税は返事さえしないで、憎しみと怒りとの籠った眼
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