代の死態だが……」
いよいよ迫る死の息の下で、主馬之進は云いついだ。
「変死、怪死、他殺の死と、人々によって噂され、それに相違なかったが、しかし決してこの主馬之進が、手をくだして殺したのでもなく、他人《ひと》にすすめて殺したのでもない! ……わしの僕《しもべ》のあの勘兵衛、わしがこの家へ住み込ませたが、性来まことにかるはずみの男、勝手にわしの心持を……わしが先代のこの屋敷の主人の、死ぬのを希望《のぞ》んでいるものと推し、古沼から毒ある長虫を捕り、先代の病床へ投げ込んで……」
しかしこれ以上断末魔の彼には、言葉を出すことが出来なくなったらしい、両手で虚空を握む[#「握む」はママ]かと見えたが、体をのばして動かなくなった。
「あやめ[#「あやめ」に傍点]よ、お葉よ、二人の娘よ!」と、これは精神の過労から、死相を呈して来た松女は叫んだ。
「お前たちの母は、荏原屋敷の主婦は、おおおお決してお前たちの、思い込んでいたような悪女でないこと……お解《わか》りかお解りか! ……なき良人の遺言を守って、家のためにこの身を苦しめ……でも、もう妾は生きていたくない! ……可哀そうな主馬様の後を追い……」
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